軽度認知障害(mci)への接し方:してはいけないこと
もの忘れの症状を叱らない

軽度認知障害の人はもの忘れをするため、家族は同じことを何度も聞かれたりすると、つい「さっき言ったでしょう?」とか「もういい加減にして」とか言いたくなるものです。
軽度認知障害の人は一度言ったことを忘れて、繰り返して同じことを言ってしまいますから、このような言葉を浴びせかけられると、またやってしまったという悲しい気持ちになってしまうようです。
何を言っても叱られたり無視されたりすると思い出したら、気持ちを閉ざしたり、家族との関係が悪くなったりすることもあるようです。同じ話に付き合うのは大変なことですが、叱っても改善することはなく悲しさだけが残ってしまうので、叱ることは避けましょう。
本人のプライドを傷つけない

軽度認知障害の場合、まだ日常生活には大きな問題がないため、身の回りのこともある程度は自分でできることがほとんどです。しかし、少し難しい場面になると、うまくいかないこともあるようです。
例えば、どこかへ出かけた時にトイレの場所がわからなくて、尿意や便意を感じてあわててしまうことがあったりします。
トイレに行けば自分で用が足せる場合でも、どのくらいの時間ならトイレに行かなくても大丈夫であるか、自分がいる場所からトイレまでどうやって行けばよいか等、いくつかのことを総合的に考えて決めることが難しいのです。
そこで、子どもをトイレに連れていくような感じで「もっと早く言わないとダメでしょう」などと声を掛けたりすると、プライドが傷ついてしまいます。もしも間に合わずに失禁してしまったような場合も、決して叱ってはいけません。
「こんなことでは認知症になってしまう」などと言わない

軽度認知障害になると、ある程度の割合の人は認知症に移行していくわけで、本人も自分がそうなるのではないかと気にしていることが少なくありません。ですから、「こんなことでは、本当に認知症になってしまう」などと言うのは、絶対に避けましょう。
もちろん、配慮のない言葉かけそのものが、認知症に直接つながるわけではありません。しかし、ただでさえ不安であるのに、さらに不安を増大させるような言葉かけをすると、本人の意欲が低下し、ふさぎ込んだりして運動不足や食欲不振、睡眠不足等の状態になってしまうことがあります。
そのような状況が、認知症になる可能性を大きくしてしまうと言えます。