軽度認知障害(mci)とは
軽度認知障害と認知症の違い

認知とは、人間がいろいろなものを見たり聞いたり触れたりして、それが何であるか判断したり理解したりすることです。軽度認知障害(mci:Mild cognitive impairment)とは、正常ではないが認知症とは診断されていない状態のことで、ちょうど境目にある状態であると言えます。
認知症の初期ではなく、あくまで認知症になる前の段階のことです。
ベータアミロイドという物質がアルツハイマー型認知症の原因であるかもしれないとされていますが、ベータアミロイドが10~20年もかけて脳の中に蓄積された後、認知症の症状が現れるとも言われています。軽度認知障害は、ベータアミロイドが蓄積される途中の段階であるという見方もあるようです。
そして、軽度認知障害は病名ではなく、ある状態のことです。どんな状態が軽度認知障害と診断されるのか、アメリカのピーターソン医師が示した5つの診断基準を挙げておきます。ピーターソン医師は、自らアルツハイマー病であることを公表し93歳で亡くなったレーガン元大統領の主治医だったとされています。
- 本人や家族(介護者)が、もの忘れをすると訴えている。
- 正常な高齢者と比べて、記憶力が低下している。
- 認知機能に大きな問題はないが、低下する。
- 日常生活で、特に目立つ問題はない。
- 正常ではないが、認知症ではない。
軽度認知障害で低下する認知機能

軽度認知障害では、エピソード記憶と注意分割機能、思考力(行動を管理する能力)の3つの認知機能が低下すると言われています。
- ●エピソード記憶とは、
- 過去に体験したことを覚えていて、後で思い出す機能です。
- ●注意分割機能とは、
- 同時に複数のことに注意を払いながら何かを行ったり、注意を切り替えたりする機能です。例えば、一品ずつ料理を作るのではなく、数品を同時進行で作ることです。
- ●思考力(行動を管理する能力)は、
- 日常生活において計画や目標を立てたり、難しい判断をしたりする機能です。
認知症を予防するためには、軽度認知障害の段階での適切な対処が有効であることが、最近明らかになってきました。
低下すると言われている3つの認知機能を刺激することで、認知症を予防したり症状が出るのを遅らせたりすることもできるようです。どのような対処法が有効であるかについては、ページで見ていきましょう。