軽度認知障害(mci)本人の気持ち
軽度認知障害の診断により、うつが引き起こされることも

認知症の治療薬が開発されて早期の治療が可能になってから、認知症が疑われる症状が出始めて早い段階で受診し、診断を受けることが多くなりつつあります。
認知症だけでなく、軽度認知障害の診断も早期に行われるようになったわけですが、もの忘れが気になって受診したものの、大きなショックを受ける人が少なくないという事実も問題になっているようです。
人にはプライドというものがありますから、たとえ心の中ではもの忘れがひどくなっていることが気になっていても、表面には出さずにいたかったりするものです。明らかに、自分の記憶力や認知機能を調べているとわかるような検査を受けながら、試されているようでなさけない気持ちを抱くこともあるようです。
そんなところへ軽度認知障害の診断が下りたりすると、烙印を押されたような気持ちになってしまうものと思われます。
軽度認知障害と診断されたからと言って、必ずしも認知症になるわけではないのですが、認知症になる可能性をはっきり指摘されたように感じて、ショックを受けて意欲も失い、ふさぎ込んでうつ状態になってしまうようです。
家族も同様にショックを受ける

うつ状態になるのは、本人だけに限らず家族においても同様であることが少なくないようです。
家族は、本人が同じことを何度も繰り返して話したり、物の置き場所を忘れたりするいろいろな症状に対して、いら立ちや怒りを覚えたりしたこともあったはずです。軽度認知障害の人自身は、自分がもの忘れをしたことも忘れたりするものですが、家族は忘れません。心配な余り、ついきつい言葉を本人に浴びせてしまったりするので、本人もとても辛い気持ちになってしまいます。
もしも軽度認知障害から認知症に移行すると、さらに症状が悪化して困難な状況となりますし、何より、受診させたことで本人がうつ状態になったような気がして、受診させたことが良くなかったのではないかと自分を責めることすら出てくるようです。